アーサーおじさんのデジタルエッセイ570

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第570 猫は天才である


 天才の称号は、業績が抜きんでていれば与えられるわけではない。
業績の他にも重要なことがある。
それは「世間の形式に縛られない」「決められたことから自由である」ということ。
だからしばしば我儘であることもある。
しかしあんまり我儘だと、天才とは呼んでもらえない。
「変わり者」と言われる。
 他人にも寛大でありながら、すごい業績を為す天才はいっそう素晴らしい。
社会の慢性的な形式や教育にも染まらず、自然人として豊かで自由な発想に支えられている。
 そういう自分も少しは自由な発想を持っていると自負したりすることがある。
しかし、今朝見たことでは驚いた。
まだまだ自由な思考ではない、と反省した。
 朝の駅までのアスファルトの5メートル幅ほどの通勤路を猫が横切った。
どこかへお出かけのご様子である。
太ってておばさんのようなユーモラスな白にブチの猫である。
とことこ。

すると横切った先には、間口の狭い住宅の玄関先の駐車場がある。
ははあ、その家を切り裂いて後ろ側へ横切るのだな。
本来なら道路に沿って大回りとなるが、彼女にはそういう面倒な地図はない。
建物の隙間や裏庭や塀が障害物とはならないし、迷惑行為だとも思っていない。
とはいえ車ではなく玄関には斜め方向に原付バイクが止めてある。
それにはグレーのビニールカバーが掛けてある。
ははあ、たぶん、前輪の横を抜けて玄関横から脇に回るにちがいない、と私は思う。
ところがである。
猫はほんの一瞬立ち止まった。
顔をあげ、グレーのビニールカバーを見ると顔を突っ込んだ。
すると彼女は、サドルの下、前輪と後輪の間の湾曲した足台のくぼみに跳び乗った。
そしてそこを抜けて、あちら側に抜けて行った。
「え?」 そこが彼女の「今日の通り道」であったのだ。
うーん、してやられた。
彼女は知恵を絞ったのでも地図を書き変えたのでもない。
地図などない。
できるだけ真っ直ぐに目的地に向かっただけである。
ああ、私はまだまだ自然人には程遠いと、衝撃を受けたのだった。

               
             ◎ノノ◎
             (・●・)
               

         「また、お会いしましょ」   2011年12月24日更新


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