アーサーおじさんのデジタルエッセイ490

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第490 夢の言葉 


 まず、びっくりかも知れませんが、夢は夜に見ているものではありません。
実は一日中見ているのです。
それは「脳」の情報整理作業だからなんです。
昼間の星はあの空の中には決して見えませんが、夜が来ると、大きなものから次第に姿を現します。
そして晴れたビロードのような夜空では、本当に満天の星が見えます。
これが夜に夢を見ることができるという答です。
灯台だって、小さな蝋燭だって、真夜中には輝きますね。
私たちの脳は昼間には、大変な量の情報を収集し、前頭葉を中心に膨大な覚醒の情報処理をせねばなりません。
そういう大きな刺激下では、隠れているのが、「夢」の存在です。
刺激のインプットが減少する夜には、昼間に溜めこんだ情報を統合する活動が一層活発になるのでしょう。
 日光のサルには、「餌あげ禁止条例」という「ものがあります。
もし、餌をやるとその人めがけてサルが一斉に寄って来ます。
もっとくれと攻撃を掛けるようです。
 人間の性質もそんなに違う訳ではないから、同じ現象が起こります。
くれた人はもっとくれる。
こういう認識を脳は起こすのです(汎化)。
しかしそういう情報が膨大であり、かつ整合性が無い時に、脳の情報処理は複雑になり苦しみます。
人が大きな事件や近親者の死などにぶつかると、理屈ではなく、情報処理ができなくなります。
これは現実の苦しみにシンクロしています。
およそ、前頭葉だけが苦しむということも、無意識だけが苦しむということもないのです。
情報処理であればシンクロして苦しむということが起きます。
もちろんクイズや数独を解くのに苦しむ、というのは違います。
脳の奥底の収蔵庫では、どうしてよいか、どこに分類してよいかが検討されています。

 さて、奥の収蔵庫とは、動物の脳、鳥や魚の脳ですから、その「ことば」で語られ、表現されているはずです。
無意識はわれわれの言語ではない、状況説明の言語ではないのです。
無意識は、状況のデータを認識することができないので五感や感情で扱われている言語を使用しています。
夢は無意識がぶつぶつ呟いていることです。
それは動物でも持っている言語=感覚や映像、で表現されます。
A)「上司が、あんなに圧力を掛けるのは、どうして」
ということばは無意識にとっては、
B)「父が あんなにいじめるのは どうして」(初期の幼児体験)
ということばになるかもしれない。あるいは、
C)「ライオンが 追いかけて来て 噛みつくのは 痛い」(原始的な刺激アナロジー)
と聞こえるかもしれないのです。
 そういう言語が、意識に写り込むと「夢」になる、ということです。
A)は我慢して押し隠されているかもしれません。
でもC)では答えが出てるような気がします。
対応がはっきりしてきませんか?
 夢は、無意識の病状を示す信号です。
お分かりでしょうか、つまり現実とシンクロしているはずですね。
現実には、人は現状を無理に受け入れたり、理論的に行動するので、その異常性に気付かぬことがあります。
殿に切腹を命じられても、「ははー有り難き幸せ、名誉でござる。」という無理もあるのではないでしょうか。


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2010年4月17日更新


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