アーサーおじさんのデジタルエッセイ491

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第491 夜のささやき 


 読みかけの本を閉じて、枕元の蛍光灯を消すと、暫らくして、蛍光灯は「プツン、プツン」と秒針のような音を立てる。
熱かった蛍光管が冷え始めると、金属部分との収縮率の違いから起こる音のようだ。
そうでなくとも天井や壁、本棚のあちこちから、カチッとか、ガツン、プチ、とか不定期な音が発生する。
眠りバナには、ドキっとすることになる。
静かな夜のマンションの一室ではこんな具合である。
 ところで昔は、鉄筋マンションもなく木造の家屋は当たり前だったから、「本格木造建築」という言い方はなかった。
そんな家では、深夜に「バーン」「パシーーン」という大きな音が、一晩中家のあちこちから起こったものだ。
柱や梁の乾燥に伴い、小さな割れが起こるのだ。
確かに、古い家屋を子細に見ると柱には幾つもの裂け目が見られる。
古いスシ桶を長い間放置しておいても、木は乾燥して緩み、金属のタガが、もう外れかかっている。

 東京ではさすがに無いけれど、地方都市での一戸建てでは、深夜の天井で文字通り「ねずみの運動会」が行われていたことがある。
ドスドス、バタバタバタ。
ある日、目をつぶった私の頭の中で、どうみても不思議なことが起きた。
天井が破れるかと思えるほどの大音響!どどーーん。
そして、ざざざざざあーっ!猫ほどの大きさに生き物が、ねずみの群れを追いかけている。
ネズミしか入れる大きさの穴もないのに、どうして猫がいるのだろう?
不思議だが夢ではなかった。
ずいぶん後から、あれはイタチだったのではないかと思われたのだ。
 

             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2010年4月24日更新


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