アーサーおじさんのデジタルエッセイ489

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第489 犬の条件 


 その犬は一度、別の動物になってみたかった。
それで猫に変身してみた。
しかし、すぐに「ああ、犬じゃないか」とばれてしまった。
それで、こんどはライオンになってみた。
でも、「ああ、これはライオンではない。犬じゃないか」
とばれてしまった。
それで、トカゲになってみた。
子供たちが「これ、犬だねえ!」と言う。
どうしてだろう。
犬はなぜ僕が犬って分かるの?と聞いてみた。
だって、近づく時に、ビシビシと尻尾を振って来たじゃないの。と言う。
そう、メトロノームのように、ぷるんぷるんと尻尾を振っていたのだ。
犬はこんどは気をつけようと思った。
それでもう一度、猫になってみた。
でも、ダメだった。
主人に近づくと、ピタピタと尻尾が振られていたのである。

 さて、DNAで生き物を判断できる以前は、動物を分類するのにどうしたのだろう。
種や科や目を決めるのにどんな判断基準があったのか。
最初は解剖学がそれに寄与したはずだ。神経、脊椎の様子で脊椎・無脊椎動物を区別。呼吸器官や内臓や外皮や外観で、魚類、爬虫類、節足、軟体、円形、扁形、環形、棘皮など。
生態で、鳥類、両生類、魚類。哺乳類、有袋類など。
どうも解剖学と生態の組み合わせらしい。
 で、これからはDNAで区別していくのがトレンドになるだろう。
けれども、DNAでは人の生活感覚にはピーンと来ないことも起こるかもしれない。
人間生活に関係ない分類が「科学的」なのである。
 でも、先述の犬くんは、どんなDNAのせいで尻尾を振るのだろう。
「あいつ、社長にシッポ振ってやがる」という言い方があるが、正確には犬に失礼である。
なぜなら犬くんは、嬉しいから振るのであり、ゴマをすっているのではない。
あれは、胃腸、心臓と同じ不随意筋で出来ているのではないのだろうかと思う。

             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2010年4月10日更新


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