アーサーおじさんのデジタルエッセイ476

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第476 ホモ・ペロエンス 


 数ある生命体、動物の中で、人間だけにある特徴はなんだろう。
古今東西、いろいろに云われてきたようだ。
脳の容量が大きいという生物学的な特徴から、文字や言葉をもつとか、考える葦とか、ホモ・ルーデンスとか、笑うとか、死後を怖がるとかいうやや哲学的なもの、いろいろな表現があるが、私にはどうも、もっと素朴で「変なの」と思うところがある。
その特徴は、まず理由が分からない。
原因も分からない。
それについて書いたものを見たことがない。
 二子玉川の駅の近くに「いぬたま、ねこたま」という動物パークがあって、ショーを開いている。
ここに「スフィンクス」という名前の不思議な種の猫がいる。
無毛で茹で上げたクリスマス・チキンのように肌が露出している。
それは奇妙に人間の肌を思い起こさせる。(この種は20世紀に入って人工的に交配されたものだということだ。)

 人間は裸で生まれる。そしてそのまま育ち、不思議なことに区切りのある一領域にぼうぼうと毛が伸びるのである。
 まるで大きな大根である。
太く丸い頭頂にいきなり飛び出すようにふさふさと青い葉が生えている。
この葉を切り落とすと全身が禿げた白い躯体のようである。
この青い葉を、黒髪に変えたのが人体の姿である。
なんと奇妙でグロテスクなのだろう。
それを強調するのが女性の美。黒い川のように長くうねる髪。
そこ以外はつるつるで真っ白な肌。
おかげで露出した肌には服を着せねばならない。
誰が交配を重ねて、こういう種に磨き上げたのか。
そしてそれはなぜだろう。
ほっておくと何メートルも伸びてしまう体毛など、他の動物に見たこともない。
つまり人の特徴は頭頂だけに限定された長い体毛である。

             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2010年1月9日更新


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