アーサーおじさんのデジタルエッセイ475

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第475 おいしいチャーハン(人生)の作り方 


 60歳ともなると赤いチャンチャンコを着なくとも、一旦は、何らかの人生の清算を求められていることは感じるものらしい。
僕の知人に、定年時にあるプラン決心をして、ささやかだが実行した人がいる。
 彼は50代くらいから定年後は一年ばかり、語学留学したいと漠然と考えていたらしい。
それまでの人生の形式をなぞらない体験を一度しようと考えたのである。
しかし定年が近づいてみると、現実は厳しいし、予算も十分ではない。
一年の留学など夢、せいぜい1~2カ月である。
それでも旅行ではなく、その人らしい経験の出来る方法にこだわった。
そこでどうしたか。
ここで、チャーハンのレシピに話は変わる。
 おなかが減ってきた。
もう買い物に行く時間はない。
ともかく唯一食料のある冷蔵庫の扉を開く。
要するにそこにあるものしかお腹の足しにはならないからだ。
う~ん、冷や飯がある。
野菜はニンジンとタマネギがあるからチャーハンが出来るかもしれない。
焼き豚はない。
大丈夫。
少し探してみるとハムが見つかった。
これで行こう。
乾燥エビもあるので入れてしまおう。
塩鮭の食べ残しがあるほぐして入れてしまう。
余りのエリンギとアーモンド・スライスも投入。
あとは実行、鍋とオイルと塩、火加減でできる。

 こうやって、突然に「メニュー」が生まれた。
彼は勉強8年目のスペイン語力と、昔やっていた水彩画を復活させて絡めることにした。
残った有給休暇をフライパンにして情熱の炎で炒め、イベント風に調理することに決めた。
調理の時間は2カ月を確保した。
 2カ月間、スペインで語学学校に通い、自炊し、友人を作りながら、午後の時間には画廊を訪ね歩いて、持参した自分の水彩画での展覧会の話をまとめ、1カ月間行った。
オープンの日、会場にはその日までに現地で作った友人40人ばかりが来てくれた。
ゆとりが出来ると現地で30枚少々の絵を描いて帰国した。
すべて行動は手探りであった。
 豪華な食事ができないとしても、チャーハンは食べられる。
チャーハンの材料は自分の冷蔵庫の中にしかないということだ。
それをうまくミックスしてレシピにするということだ。と彼は言う。(笑?)

             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2009年12月27日更新


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