アーサーおじさんのデジタルエッセイ356

日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む

第356 二割増の電車


 世界に新入社員が溢れると、世間はぐっと密度が高まる。
それは3月末日と比べることでくっきりと身に迫る。
電車に乗れば分かる。
すでに駅のホームに入ったとき殺気を感じる。
何かが違う。
昨日のからりとしたゆとりはどこに行ったのか。
電車がすべり込む。
駅の整理員の緊張が伝わる。
わいわいと押し合い、急行に乗り込む。

カバンはゆがみ、足は不適切な位置に甘んじる。
誰だ、誰のせいだと思い、不自由に見回すと黒のスーツが見える。
あれか、と思うが顎鬚がジャン・レノや高田延彦みたいだったりして、どうも新人でもなさそうだ。
ピ・ピ・ピピ。
こんなに混むのに携帯でゲームをしている者も、まま居る。
世間はこうやって、体感混雑・二割増しの状況である。
なかなか犯人は見当たらない。駅には行列が出来ている。
それは定期券発売所であった。
ここにも女性や中年が溢れているが、そんなに新人に占拠されているようでもない。
 どこか見えない遠くから、津波のように圧力が来ているのだと、考えるしかなかった。


             ◎ノノ◎。
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2007年4月14日更新


日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む