アーサーおじさんのデジタルエッセイ305

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第305 始原の目撃者


 海苔巻が並んでいると、どこかに端っこがあって、かんぴょうが飛び出ていたりする。

これが好きな人もいるわけだが、やはり切り口のきれいさが売り物であったりする。

海苔巻は分かりやすいが、始まりの分かりにくいものもある。

通勤路で毎日見るビルの屋上の看板の図が変わっている。

あれ、いつ変わったのだろう。

どうやって変わるのだろう。あんなに大きなものが簡単に変わる訳が無い。

3LDKくらいの広さがあるものもある。渋谷のハチ公の周りなど多い。

いつから、あの絵が始まったのだろう。

 そうこうしているうちに、ある日絵が半分剥がされて、そこにはロープで下げられたブランコに乗った職人が、糊の付いたローラーを伸ばしながら、手に持った畳のような長いポスターを広げて押し付けている。

下には別の人がいて、剥がした紙を受け取ったり、次の部分のポスターを“つるべ”で持ち上げたりしている。

長い畳は横につながるとしっかりと、見慣れた美女の顔に出来上がる。

私はなんだか得した気分で嬉しくなる。

始原の生まれる光景を見ている神のような気分になる。

 そういえば、我が家のトイレットペーパーはいつも同じ製品を使っているが、その「海苔巻の端っこ」を見たことが無い。

何事にも始原が無いわけは無い。

工場には切り落とした端っこが沢山転がっているのだろう。

だからその工場のトイレではいつも端っこを使っているのだろうか。



             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2006年3月12日更新


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