アーサーおじさんのデジタルエッセイ158

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第158話 つばの靴磨き


嘘だ、と思うかもしれないが、物資が少ない戦後の時代には、人間の環境のすべての存在物が、機能的に利用されていた。

回りくどいいい方になったが、靴磨きクリームや頭髪調整剤、消毒薬など、周りにない場合、万人が常時携帯している唾(ツバ)が利用されていたのである。

特に潤滑剤であるツバは、公道の靴磨きのベテランでもかなり最近まで活用していた、と聞く。

布の磨き効果に加え、埃を吸い取り、艶を起こす。

ほんとは他に変わるものがないと思いつつも、お客さんが変わったから、今では水やクリームをしようするはめになったのだった。

歯磨き粉は昔は塩だった。

オニギリを包んだのは本物の竹の皮だった。

殺菌力があり、かつ風を通す筋があり、さらさらと清潔であった。

肉屋の包装は必ずこの竹の皮であった。

過日、都心部の竹ヤブに入ったら、大きな竹から、はらはらと「竹の皮」が幾つも幾つも落ちていて感動した。

メイドイン・ネイチャー製品が生産されている工場を見た感じであった。

「汚い!」と言って、プラスティックのものばかりに摩り替わるのは、汚いからではなくて、取りに行くのが面倒で、均一ではないからだろう。

均一のお寿司にピラピラのグリーンの偽笹が敷いてある。

あんなの要らないなあ。添え菊はこのごろ本物である。

あれも一時はプラスティックが横行したことがあった。

最近はお肉もクローンで作ろうとしている。

小さな子供は食べ物は工場で作ると思っているんじゃないか?


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2003年4月27日更新


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