アーサーおじさんのデジタルエッセイ133

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第133話 大人との遭遇(カメの鼻・連作)


最近の新聞で見たパリコレの、グッチのモデルは9頭身くらいで思わず、胸を打つ。かっこいい大人のオーラがある。−−−しかし、5頭身くらいでも「おとな」を強く感じることがあったのを思い出す。

僕が高校生の時、ある教官室で先生に「そこに座れ」と言われた。

彼は書き物をしていた。

なんか音がする。

なんか匂いがする。

背が大きくない彼は、こちらを向くと、権威主義的な口調で「あのなあ、(アーサー)…」と話掛ける。

その時僕は、全身で彼に『おとな』を感じてしまった!

権威的な話し方、鼻から飛び出た何本かの鼻毛。

そして息をするたびに、小さくピー、ピーと鳴る鼻。

さらに喋る時に漂う大人の匂い(ヤニの臭いだった)。

大人との遭遇

僕は感動を覚えた。憧れてはいないにしても、高校生では発することの不可能なさまざまなエレメントを、彼は立体的に浴びせ掛けて来た。

後にして思えば、なぜ鼻毛を切らないで放置するのか解からないし、なぜ鼻が吸気の度に「…ピーッ」と音がするのか、大人はなぜタバコを吸うのか解からない。

そのせいか、僕は自分の鼻毛が伸びると気になるし、鼻の音はさせない。

アードラー(心理学者)によると経験的に獲得した能力を人は意識的・無意識的に身に付けるわけだ。

そう、きっと、彼もこの「大人3点セット」を知らず知らず身に付けたのだろう。

背が高くなかった分を補っていたのかも知れない。


             ◎ノノ◎。
             (・●・)。

     「また、お会いしましょ」 2002年10月27日更新


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