アーサーおじさんのデジタルエッセイ132

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第132話 カメの鼻


人間も動物も、その土地に生まれて生きていくから、そこからミネラルも蛋白質も、水分も手に入れていかねばならない。

食物が偏っていると少々つらい。

そのむかし、ジョン・万次郎も遭難した鳥島では、歴々何人もの人間が遭難していて記録もあるが、そこでは人を恐れない鳥、つまり逃げない「アホウドリ」が主食となった。

棒1本あればいくらでも掴まえられたという。

しかし記録では、だんだん体に不調が現われ、全身に蕁麻疹のようなものが出来たという。

それから工夫して島に出来る「木の実」と交互に食するようにしてからデキモノも改善されたという。

言いたいことはそれではない。ニワトリが砂を食するという話。

自然に胃袋に入ってしまうのではなく、砂ギモを作るためだ。

固い食べ物を消化するのに砂がお腹にあるほうが都合がいいというわけ。

体外の環境から自己に必要な“道具”を摂取するのだ。不思議な生活の知恵だ。その気になれば、なんでも自分の武器になる。

で、うちのカメは、たらいと水と『カメのえさ(商品名)』以外何も与えない環境である。

カメは本来鳴き声を出せない。

しかし彼は、努力した。

彼は「ピーピー」と鳴いて、餌をねだることが出来るようになった。

最初は「有名な」亀の鼻詰まり、だと思っていた。

可愛そうに、と思っていた。

違う!な、なんと彼は、鼻詰まりを恒常化させ、自己化させて、発声器官を手に入れたのだ。

すごい。可愛く、スピーッ、スピーッと鳴き、短い手足をカタカタさせる。

私は亀の進化を目撃しているのかも知れない。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)。

       「また、お会いしましょ」 2002年10月20日更新


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