アーサーおじさんのデジタルエッセイ134

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第134話 恐ろしい、人間造り


政府かなんかが、突然『来年より、赤ちゃんを造るために、母親の子供創造技術講座を開き、受講してもらいます。卒業できないと、つくれません。

本能で造ることはやめ、知性と知識、そして技術の高さで有能な子にするのです』と言ったらどうだろう。

半年の受講で、指の適切な長さ、細胞分裂の順番。爪の位置など教わる。

また生存に必要な内臓を一通り知る。

肝臓腎臓の大きさ、位置を誤ると、成人病になります。

骨は全部で202個、頚椎は7個にしてください。両腕の尺骨は肘から外側に付けて太過ぎないように、でないと手を回転できません!

絵の才能があっても、科学的論理が分からないと無理な人間を作ってしまいますよ。

あ、三半規管、そこじゃないでしょ。もっと右。

くたくたになりながら、母親候補生はノートを取る。

あー、ダメだ、覚えられない。なんて、なーんて人間の体は複雑で微妙なんだ。

それに自分だけでやったら100年かかっても組み立てられない。

見えないものが見える!

大丈夫、全部マニュアルありますよ。

でも、それ電話帖で15冊分はあるじゃないですか!

――――――『奥さん。女の子ですよ。なかなか良く出来てますよ』

ゆっくりと、もみじの手をとり、数える。

1・・2・・3・・4・5。あ、良かった。ちゃんと、指が5本。

数え忘れたのに、ちゃんとある。ちっちゃな爪もある。

あ、眉も目の上にある。あ、笑った!腕をゆすっているじゃないか!

『赤ちゃん士・準1級』も取れなかったのに、つい居眠りしていたのに、順番間違えなかった!

ありがとう、どこかにマニュアルが積んである、そして誰かが徹夜で組み立ててくれたんだ。

考えて作ったら間違う。すっかり忘れてリラックスした方が、完全な行動になるのかなあ。人生もそうかも知れない。

考え過ぎると、かえって間違えるんじゃないか?ね、疲れている君、そうではないかい?


             ◎ノノ◎。
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2002年11月3日更新


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