温泉日記34 温泉 ふれあいの湯 平成13年12月23日更新

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長野県 蕨温泉 ふれあいの湯 平成13年12月2日

温泉の三要素:1.湧出量:(毎分)250リットル。2.泉質:カルシウム・ナトリウムー塩化物、硫酸塩泉pH7.5、3.泉温:46.5度。

今回入湯の蕨温泉は南志賀温泉郷の入り口、山田温泉へは2kmの蕨平に昭和63年オープンの共同浴場「ふれあいの湯」である。比較的新しい温泉であるが、泉質も良く、源泉掛け流しというのも昨今開発の日帰り湯としては珍しい。展望風呂の開放感と眺めが実にいい。

展望風呂

風呂は木造りの20人位入れる内湯と、窓外の15人位入れる展望風呂の2つである。展望風呂からは北信(ほくしん:信州北部)の山々や、遠く雪をいただいた北アルプスが望め眼下に善光寺平が広がる。

内湯


明治23年8月山田温泉に逗留した森鴎外は此のあたりの様を「みちの記」で

「須坂にて晝餉食べて、乗りきたりし車を山田まで継がせむとせしに、辭みていふ。これよりは路険しく、牛馬ならでは通いがたし。偶々牛挽きて山田へ帰る翁ありて、牛の背借さむといふ。これに乗りて須坂を出ず。足指斬く仰ぎて,遂につずらをりなる山道に入りぬ。ところどころに清泉迸りいでて、野生の撫子いと麗しく咲きたり。
その外都にて園に植うる瀧菜、水引草など皆野生す。せうれうという褐色の蜻蛉あり、群をなして飛べり。日暮るる頃山田の温泉に着きぬ。」と記している。

建物全景 玄関


蕨温泉は鴎外がまさに描写したとおりの場所に建ち、村人の憩いの場としていまでは生活の一部となっている。

蕨温泉地図

長野県上高井郡高山村電話026−242−2313

入浴料金:300円時間:AM6:30〜 PM9:00休み第2火曜日(月1回)

交通:長野電鉄須坂駅から山田牧場行または原宮経由山田温泉行バス25分蕨温泉バス停下車。

車: 上信越道須坂長野東ICから10km(20分)。

2001年温泉日記の「いい湯」巡り、いかかでしたでしょうか。

あいかわらず新しい掘削による豪華温泉が増えています。しかし「いい湯」鑑定団は地味にいい湯を巡りつづけます。2002年は、泉質にこだわった「いい湯」巡りを特集します。

2002年温泉日記をお楽しみに!


 鴎外は、明治23年8月、29歳の時に避暑でしばらく山田温泉に遊んだ。道中記「みちの記」は明治23年8月22日、24日、27日〜30日、9月2日の7回に渡って「東京新報」に鴎外漁史の署名で連載された。現在は鴎外全集第22巻に見える。この地が気に入り、明治23年9月21日付書簡で、山田温泉の宿主藤井屋東兵衛に「兼て御話申候地面何反何金にて御譲出来候哉序の時御知らせ被下度御依頼申上候也」と、別荘地として土地購入の申し入れを行っている。しかし実現せず、それから11年後に「先年信州の山に小屋をこしらへんとおもひしが、今となりては日光の方迥(はるか)によろしと存候」という明治34年8月7日付書簡が残っている。

温泉作家 簾田彰夫(★★)


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