アーサーおじさんのデジタルエッセイ584

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第584 民族大移動の日々


 風が吹けば桶屋がもうかるのかしら。
今はもうほとんど桶屋などないのでそれは言葉として現実的ではない。
風が吹けば電車が混む。
遅延して何かと混みあうのである。
先日の風は強かった。
全国がほとんど同時に台風に見舞われたみたいな日であった。
ところで混みあう電車だが、それぞれの都合で荷物は多い。
大きな乳母車に子供と荷物を積んで、そのギューギューの電車に乗っていた外国人にはおどろいた。
けれども彼らには時間帯を選んで利用しなければならない乗り物など想像しなかったのかもしれない。

 このごろ不思議に思うのは、手荷物が多いことである。
特に女性である。
よく見るとバッグのほかに「トートバッグ」という布製のバッグなど持っている。
多くの人が三つのバッグを持っている。
男性も大型のビジネスバッグと紙袋などであることが多い。
女性の肩に掛けたソフトバッグは意外に邪魔である。
満員電車の乗り降りでは、それがネチネチ絡む。
なんとか引きつけておいてほしいものだ。
おそらく片手でスマートフォンをいじっているからかも知れない。
こんなに誰もが大荷物を持って毎日旅行をしている。
国民が朝夕に大移動をしているのだ。
非常用の一式を入れたリュックを背負う人もいる。
我が家はあるものの明日は何が起こるか分からない毎日では、日常品を携帯して生きていく必要があるのかもしれない。
人生の何分の一かは「ホームレス」として生きているのかも知れない。
トートバッグは週刊誌の付録になって、その移動に拍車を掛ける。
その大きなバッグの底には、もう何が入っているのか分からないかもしれない。
古いレシートや、使い古した手帳、干からびた飴玉、ビスケットのかけら、擦り切れた夏の虫の死骸などが一緒に移動しているかも知れない。


               
             ◎ノノ◎
             (・●・)
               

         「また、お会いしましょ」   2012年4月7日更新


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