アーサーおじさんのデジタルエッセイ579

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第579 自分が必要になる時


 風はなにごとにも関係なく変化している。太陽が真上に上がれば、ふと方向感覚を失う。
ヨットはどちらを向いて走っているのか?
GPSを確かめなければ、進路を誤ってしまいそうだ。
そうしてそういう航海が約一年、もう永遠のように続いている。
自分は何かを続けていたはずだ。
自分はどこにいるのか。
何者だったのか?
不安になりキャビンに戻って鏡を見る。
そこには日に焼けた少女の顔があった。
「私は何をしているんだろう?」。
彼女は海の上でたびたび自問したと言う。

 ラウラという16歳の女性が単独でヨットでの世界一周を終了した。
世界最年少である。(2012年1月22日、AFP時事、ブリュッセル)1月21日にカリブ海のシントマーテン島に再び着いた。
実は14歳の時に世界一周に出ようと試みたが、自国オランダの児童保護局が認めなかったのだ。
裁判に勝訴してやっと航海が叶ったのだ。
 どんなに意志が固く、準備をしていても、その行動を支える心は、同じ意識を持続できないこともあるのだ。
「私は何をしているんだろう?」
 大きな行動を完遂する時には、それを上回る強力なタイトルを掲げなければならない。
思いつきの、下心に支えられた目標など、いとも簡単に吹っ飛ぶことがある。
われわれが日常に様々な希望を持って突き進んでいるつもりでも、意外に実行できていないのは、そうう原理である。
つまり「タイトル」を掲げていなかったのである。
 この点では、返って「追いつめられる」ことが実現の条件となる場合がある。
とは言っても、食物アレルギー(アナフィラキシー)を持った子供の母親が、長年の治療過程で、その原因と適切な治療に突き当たらず苦しんでいるケースがある。
食べられる肉は、ウサギとカエルと馬肉のみ。
子供はいつもお腹をすかせていた。
何年もの苦闘の毎日で、ふと主治医に向かって、「どこを目標に治療しているのかわかりません」
 と言う言葉は、胸を締めつける思いがする。(朝日新聞「患者を生きる」 2012・1・25参照)


               
             ◎ノノ◎
             (・●・)
               

         「また、お会いしましょ」 2012年3月3日更新


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