アーサーおじさんのデジタルエッセイ516

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第516 眠っている人には、ごちそうは来ない


 国内線の飛行機に乗ると結構多くの人は疲れていて眠り込んでいることがある。
ゴオーンと離陸したあと、飛行機が水平飛行に入るとほぼまもなく、機内乗務員が四角いワゴンを通路に引っ張って来て、飲み物を配給し始める。
ときどき通路の床にも継ぎ目があるのか、よいしょと重そうに持ち上げて動かしている。
中味はぎっしりなのだろう。
こんな上空で飛んでいる機内にあっても地上に向けて、ワゴンはズシリと重力を主張するものなのだ。
 最近は眠っている人を「やさしげ」に無視してくれる。
昔は、目が覚めると目の前の収納テーブルの隙間に「お客様がお休みなのでお声を掛けませんでした。
お飲み物をご希望の場合は乗務員にお知らせください」的なお知らせ札が差してあったはずだ。
もちろん、そんなものよりも睡眠が第一という客も多くて、そんな人は着陸の際に車輪が「ドシン!」という振動で初めてプルプルと目を覚ます。
当然、飲み物にはあり付けなかったわけである。
まあ、それは大したことではない。
でも人生では、必ず誰かが給仕に来てくれるわけでもない。

しかしそれでも突然に素晴らしいものを提示されている場合もあるらしい。
 けれども、それは決して分かりやすくはないので、目の前に湯気の上がる極上のステーキや、大量の懐石料理が差しだされても気付かない人、見えない人もいる。
目を瞑り、鼻をつまんでいるのかもしれない。
 人生では、今自分が何を欲しいのかを(ある程度は)知っている必要がある。
何か飲み物が欲しいと知る必要がある。
そういう人が、ワゴンを引いて来た笑顔の乗務員に「わたしは熱いミルクティーがいただきたいのです」と答えられるし、それを給仕してもらえる。
いつでもそうなのだ。(勝間和代氏は朝日新聞で「ほしいものが分からずにチャンスはない」という言葉を紹介している。2010・3/6)
         

             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2010年10月24日更新


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