アーサーおじさんのデジタルエッセイ456

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第456 レンティーニのアイデンティティ


 アイデンティティという言葉があるが、人は自分にしかないものをどこかに持っているらしい。
隠れている場合は発見しなければならないが、よく考えずに無理に作り出すという失敗をすることもあるかもしれない。
しかし、いやでも突きつけられることもあるかもしれない。
つまり「アイデンティティを持参して生まれる」のである。
「フランク・レンティーニ」という子供は生まれた時から三本足だった。
通常よりも一本多いことは幸せだろうか。(シチリア生、1889〜1966)
 悩んでいた子供時代に、あるところで松葉杖の少年を見つけた。
彼は片足だった。
彼なら悩みを共有できると思い近づいた。
おそるおそる自分の苦しみを分かち合おうとすると松葉杖の子供は「どうして、悩むの?」と言う。
レンティーニはびっくりした。
「僕はこの足のお陰で、他人にはない独自の人生が送れるのに!」と言うのを聞いたのだった。

 レンティーニは三本足で生まれてしまった。
神に与えられてしまった独自性。
それならそれを自分の生きる方法にしなければならない。
その後、彼はサーカス芸人として生きる道を選び、一躍有名になった。
三本足はどんな気持ちですかという問いに、「長く立っていても疲れなくて便利だよ」と言っていたそうである。
 後日、ヨーロッパの家具デザイナーが、その彼にヒントを得て、有名な三本足の「レンティーニの椅子」を作ったのだそうだ。
四本足の椅子よりも、三本足はどこにでも安定して置けるものだ。(出典は随分昔のテレビ放送)


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2009年8月9日更新


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