アーサーおじさんのデジタルエッセイ42

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第42話 時を翔ける少女の話


この正月に、8歳の少女から、ある23歳の女性へ葉書が届いた。覚えの無い筆跡。
彼女はそのあと突然、笑みに包まれた。"40円"の切手でこんなに感動が作れるのだ。

なんと差出人は受け取り人本人。

20世紀からの手紙だったのだから。

15年前にある博覧会の会場で「21世紀への手紙」をポストに投函したのだ。祖母の実家が住所になっていて、21世紀になると、ちゃんと本人のもとに転送された。僕はそれを見せてもらった。それは特別の物質でできているように思われた。


どこかで似た映画を見たぞ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」の出だしがそうだった。100年前に行ってしまった友から、助けに来てくれ、という古びた手紙が届くのだ。開拓史上の街の郵便局に保存され引き継がれていた手紙。「ターミネーター」では、母を救いに過去へ行き、母に恋をする。

現実にはなかなか過去には行けないが、接点はあったのだ。

僕にも過去から手紙が来ないものか?忘れていているメッセージが届かないものか。若い頃に掛けた生命保険の「満期」がやってくる位のものか。引き出しの奥から、眠っていた昔の100円札(伊藤博文?)が出て来るくらいか。為さなかった事は実らない。今、40円があれば、いや、幾らかあれば何かが出来る。

21世紀中にそれは実り、返事が来るかも知れない。それは、何年後かの自分を、十分に励ましてくれるメッセージかも知れないからね。

            ◎**◎
            (・●・)

       「またお会いしましょ」 2001年1月29日更新


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