アーサーおじさんのデジタルエッセイ418

日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む

第418 メモリー・ロンダリング


 社内の組織に変革があって、業務の分担が変わる。
机の位置も移動する。
こういう厄介な時期の楽しみは何か?
 山ほどの書類や資料を捨てることができるということ。
重荷だった企業情報や個人情報、記録の類いに整理がつく。
これまでも机の周辺の資料を整理する必要は何度もあった。
仕事とは、資料を抱え込み、捨てることの繰り返しと言ってもいいくらいだ。
なんでこんなに減らすことがうれしいのだろう。
 そうだ、片付けるということは労働の一種ではなくて、その所属から外れるということなのだ。
その象徴として物が無くなる。
解放される。

 あるところに所属している限り、資料は減らない。
必要であり続けるからだ。
人生もこれに似ていて、所属が変わると、片付くのではないか。
あたまの中のメモリーも同様である。
つまらないことを覚えなくともよくなる。
複雑なソフトの動かし方や書式、暗証番号、関連部署の人名や、特徴、個人的なプロトコルの情報、挨拶の順番、ご機嫌を伺う配慮、動いているプロジェクトの進行度、提出した書類の概要。
 こんなこびりついた厚い苔のようなものを振り払えるのだ。
また、ゼロから始めればいい。
「あの書類はどうした!」とロッカーをひっくり返すことも準備しなくてよい。
脳のメモリーは洗い流され、また、集めることから始めればよい。
突き詰めれば、繰り返しのようだが、なんだか爽やかな風が吹くような一瞬である。


             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2008年7月6日更新


日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む