アーサーおじさんのデジタルエッセイ387

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第387 ラムセスの光


 久し振りに地下街で「ラムセスの光」を見た。数年振りである。
前回見たのは田園都市線の駅の地下鉄の階段であったか。
 ラムセスの光とは、地上と地下を結ぶ太陽光線の現象であり、私の勝手な命名である。
少し説明することにしよう。
上エジプトにあるラムセス二世を祭るアブシンベルの神殿には、当時の技術の粋が駆使されている。
神殿の地下の奥深くにある神座は灯りもなく真っ暗であるが、ただ一年に二度、冬至と夏至の夜明けにだけ、その神殿の入り口に差した最初の光が奥まで達するのだそうだ。

その瞬間に立ち会う訪問者は、確かに「太陽」がこの地の神であることを、体で感じることになる。
これは建造物の演出でありながら、真にその崇高さの証明、表現となっている。
 我々もまた、擦り切れるような激しい毎日に押し潰されようとしているある朝、地面の下にいる我々のそばに、階段の一段一段を金色に縁取りながら、降りて来る黄金の神を見ることがある。
それは本当にいつか知れず、突然の来訪なのだ。
そして数分後には消えてしまう。
 その時、私たちは何をしているだろう。
失意の日にあっても、何か背中を押してくれる気がするのではないか。
まるでそれを待っていた甲斐があったような、努力の日々が満ちたような、あるいは人生のシーンが切り替わるのだと気づくのである。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2007年11月25日更新


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