アーサーおじさんのデジタルエッセイ319

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第319 考える人


 昔、藤本義一氏がテレビで話していた。

「いろっぽい、というのは簡単なことです。

遠くの物を遠い方の手で取ることです」ふうん、その通りにやってみる。

成る程。

ついでに体側を捻る。

だんだんうまく、それらしくなる。

全体にリズムと柔らかさを加えたらもう完璧。

人の顔を覗き込む時も、いきなりふり向くのではなく、反対側に遠くしてから引き戻す。

さらに視線も後れて追い掛けさせる。

すごい、何かが違う。

 昔から不思議だったロダンの「考える人」。

顎に当てた右腕の肘はどこに当てられているか?

それはうんと捻って、左脚の上にある。

肩はぐっと内側に入る。

どうみても不自然である。

これが今解けようとしている。

「ロダン」は色っぽいのである。

他の作品でも、脚を天まで開いたり、首を背中に回したりと、ひとつ動きが大きい。

ロダンはもちろん意図的に、あるいは本能的にいろっぽくしたかった。

色っぽい、とはそれが「生きている」ということを自分の身体で感じることにほかならない。

それが人体をドキリとさせる。



             ◎ノノ◎
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2006年6月18日更新


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