アーサーおじさんのデジタルエッセイ213

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第213話 プロ


床屋さんに行った。ポニーテールに縛っている床屋のおやじに、来週が姪の結婚式だからだ、と言った。

彼は「土曜日ですか、日曜日ですか?」と細かく訊ねる。

土曜日だと答えると、「うん、分かりました」と言う。おもしろい。

あとで家族に話すと、全員が「ちょっと、プロぶってみたんだ」と笑う。

私もそう思った。

でも、頑張ってきた人にはなにか特殊能力がある。

だいたい、ピアノを弾くのだって、弾けない人から見れば特殊能力である。

そして出来る人の数が少なければ少ないほど、特殊さは増す。増すと同時にマイナーにもなってくる。

ミツカンに努めているある若い社員は日頃から酢に対する味覚を鍛えたので“神の舌”と呼ばれていて、目隠しでも酢の種類を利き分ける。

メーカーや製造原料や、果ては寿司めしを食べて、それを作ったコンビニの名前まで示していた。

もちろん酢を開発し、品質管理するためだ。こんなものは機械で出来ない。

しかし特殊な能力も仕事の役に立つのでなければ、隠し芸にしかならない。

ちなみに私は、ナイフとフォークを楽器代わりに演奏し、新年会の隠し芸にした。



             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2004年5月16更新


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