アーサーおじさんのデジタルエッセイ189

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第189話 鳥の写真家


鳥の写真家がいる。名前は忘れた(NHKのBSで紹介されていた)。必ず思い通りの映像をものにするそうだ。どうしてだろうか。それは絵を描く方法のように撮ることだそうだ。あの鳥に、この辺りで、こんな風に“来て”もらおうと決める。鳥が来る仕掛け(小魚を放った生簀)を、美しい背景があり、写真を撮るのに都合のよい場所に作る。待つ。

やがて “わんさ”と餌があるので、その鳥が来る。それからひたすら10日間、行動を観察。なるほど、と鳥の動きのイメージを掴んだらスケッチを完成する。それが撮りやすいように機材の準備。プランニングの完成。で、撮影。仕方がないけど、撮れちゃう。ということ。

写真はみごとにライティングされ、美しい。なんというか、人工的というより、リアルでアナログなCGである。考えることが多い。自然のまんまの鳥ではなく、鳥の「生態」の抽出である。優雅さである。ロバート・キャパの有名な狙撃の一瞬の写真も、創作だったという説がある。ここで人が撃たれ、死ぬはずだ、と10日間待ったとしてもやはり同じ創作の一種かもしれない。写真とは面白くも不幸なものだ。写真には「準備」が必要なのだ。


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2003年12月7日更新


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