温泉日記340 甲子温泉 平成16年8月7日更新

日本鑑定トップ 温泉物語目次 前に戻る

温泉日記40 甲子(かし)温泉 旅館大黒屋(だいこくや) 平成16年7月5日、6日

温泉の三要素:

1.湧出量:(毎分) 730リットル 

2.泉質:石膏泉 ph7.6 

3.泉温:44.5度

記録破りの猛暑の日、大岩風呂で人気の「甲子温泉大黒屋旅館」に一泊入湯した。

南東北、福島県といえども日影でも汗だく。

東北新幹線新白河駅より、宿のマイクロバスが迎えに来ており、温泉まで40分の行程。

温泉は阿武隈川上流にあり至徳年間(1384年)に発見された古湯で「元湯甲子温泉旅館大黒屋」一軒のみの秘湯。

昭和5年発行の「日本温泉案内」(大日本雄弁会講談社編)によると「甲子温泉は応永年間洲安和尚といふ禅僧の発見したもので、湯量頗る豊富、谷の左岸至るところから湧出し、阿武隈の清瀬(せいらい)に落ち込んでいる。云々」とある。また「現在の旅館は(当時)、昔白河楽翁公(松平定信公)の建築されたもので、古い建物の風流の寂びが、今日までも公の風格を偲ばせて奥床しい。本館に接した茅葺きの別棟は即ち公の居室(いま)で、それと相対して建てられた勝花亭(しょうくわてい)は、公が賓客を迎接されたところである。云々」

「日本温泉案内」の記述に違わず、自然湧出の豊富な湯が注がれる大岩風呂と別邸(勝花亭)のたたずまいは、現在でも、往事を偲ばせるに充分である。

勝花亭(しょうかてい)松平定信公の別邸

 名物の大岩風呂は本館から120段程の階段を下りて、渓流の対岸にあり、重量感ある大振りの梁が圧巻の木造の湯屋。湯槽は優に50〜60人がゆったりと入れる規模。

こういう歴史を感じさせる湯屋は湯そのものに対しても信頼度が増すものである。

湯はめずらしい石膏泉(炭酸カルシウム含)。源泉44.5度。無色、無臭。源泉掛け流し。飲泉可。

湯槽での体感温度 40度内外。時折気泡が発生し柔らかな湯が肌にまとわりつく。

大岩風呂は混浴であるが、婦人風呂との入れ替えがあり、当日は 午後7時から9時と

翌朝5時から7時が婦人専用であった。

大岩風呂(混浴) 婦人風呂

山深い自然の中、湯以外、何も無い秘湯であるが、普段出会うことのない珍獣の「テン」と「ハクビシン」の餌付けに成功し毎夜8〜9時ごろ現れると聞き(宿の主人)、湯上がりの一休みに出現を待つとラッキーにも面会がかない、しばし楽しませてもらった。

婦人風呂湯口 大岩風呂

湯、もてなし、食事(朝、夕とも)建物いずれも申し分ない秘湯の一軒宿。

尚 源泉は自然湧出と掘削の2本あり、掘削分は阿武隈川下流の新甲子温泉に配湯している。

テン

又、大岩風呂に入るには120段内外の階段の登り下りが大変で、多くの大黒屋ファンの要望もあり、本館前に内湯(男女別)を建設。8月よりオープン。

新設の内湯 は日帰り入湯の場合9:30より13:00まで

<旅館大黒屋>

〒961−8071 福島県西白河郡西郷村真船

 ? 0248−36−2510

 宿泊 ¥12,000〜15,000(税サービス込み)

 日帰り入浴 ¥630−(9:00〜17:00)

 交通:東北新幹線 新白河駅より旅館大黒屋送迎 12:20 15:20

車:東北自動車道白河IC R289利用 約22Km

温泉作家 簾田彰夫 (★★★★


日本鑑定トップ温泉物語目次前に戻る