温泉物語5 レジオネラ温泉物語 日向サンパーク温泉「お舟出(ふなで)の湯」 2002年10月13日更新

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 日本人は、温泉が地中から湧き出た天然自然の湯であることを長い間信じてきました。しかし今回の宮崎県日向(ひゅうが)市の日向サンパーク温泉「お舟出(ふなで)の湯」は、温泉信仰をくつがえし死者8人、自殺者1人、患者総数295人(死者8人を含む)という痛ましいレジオネラ症集団感染死亡事件になってしまいました。

 いい湯鑑定団は、「温泉言葉辞典」で循環式温泉の問題を指摘していました。今回は循環式温泉の問題を考えるために、この事件を時系列でレポートします。

第1話 宮崎県日向市の日向サンパーク温泉「お舟出の湯」
平成14年
事 件 の 概 要
各種データ
6月12日
 6月12日、13日に源泉から浴槽を経て湯を循環させる試運転を行い、終了後にバルブを開けなかったためにタンクに貯湯量上限の約25トンの温泉水が残った。(8月8日日向市発表)
6月19日
 6月20日のプレオープンのため浴槽に湯を入れたが、約1週間滞留して汚れた約25トンの湯と、源泉の湯とが混じって浴槽に入った。(8月8日日向市発表)
6月20日
 6月20日温泉竣工式

6月20日〜6月21日まで2日間、日向サンパーク温泉「お舟出(ふなで)の湯」プレオープン(体験入浴)

プレオープンの入浴者にも感染者が多数発生しており、最初から汚染された湯だった。

プレオープン
6月28日
 6月21日〜28日にもタンク内の温泉水が滞留し、この湯は7月1日のオープン初日の浴槽に使われた。(8月8日日向市発表)
7月1日
 オープン (7月24日に閉鎖するまで約1ヶ月間(プレオープンを含む)に約2万人が入浴) オープン
7月15日
 宮崎県高岡町の70歳代男性は7月4日に入浴、9日から腹痛や発熱などの症状を訴え入院15日に死亡した。 最初の死者
7月19日
 県保健所職員が入浴者に感染の疑いがあることを通知、営業自粛を指導、その後5回にわたる営業自粛要請も無視。
7月22日
 延岡市の女性(69歳)が7月7日に入浴。その後、肺炎と診断されて入院。肺炎を悪化させて7月22日死亡。(県発表は26日) 2人目の死者
7月24日
 日向サンパーク温泉「お舟出の湯」営業中止 営業中止
7月25日
 宮崎県保険薬務課の発表によると、日向市幸脇の日向サンパーク温泉「お舟出の湯」に入浴した15人が肺炎症状を訴えて入院。うち50代男性からレジオネラ菌を検出。同施設は今年7月1日にオープンしたばがり。平均1日1千人が利用していた。 患者数15人
7月26日
 延岡市の女性(69歳)が肺炎を悪化させて死亡。県は今後死亡原因と同温泉との因果関係を調べると発表。 2人目の死者の発表
7月27日
 県はレジオネラ症感染の疑いがもたれる患者が新たに11人判明し、58人(死亡した女性も含む)になったと発表。死亡した女性の検体からはまだレジオネラ菌が確認されていない。

 日向市はレジオネラ菌対策本部を設置し、対応していくことを決めた。なお、対策本部長は山本孫春市長が就任。

 日向サンパーク温泉は地下1,500mから汲み上げた源泉を浴槽、配管、タンクなどを循環させながら再利用。その過程で濾過、薬の注入による滅菌を行っていた。

疑いを含む患者数58人(死亡2人)
7月28日
 源泉近くの温泉スタンド、浴槽など検査7カ所の全地点から厚生労働省が定めた制限値を上回るレジオネラ菌が検出された。日向市は既にスタンドと源泉をつなぐパイプを切断。菌繁殖の原因の一部とみられる温泉水の循環濾過機も日向保健所によって同日封鎖された。

 制限値を上回るレジオネラ菌が検出された温泉スタンドは2年前に設置され、温泉水を市民らに無料で提供していた。水質は2ヶ月に一度チェックしていたが、レジオネラ菌については検査していなかった。

 県保険薬務課はレジオネラ症感染の疑いがもたれていた60代男性一人と70代男性3人の尿中抗原が陽性を示し、感染確定患者が5人になったと発表。また、感染した疑いのある患者が新たに13人判明した。患者は計67人となった。

疑いを含む患者数67人(死亡2人)
7月29日
 高岡町の70代男性が肺炎を悪化させて死亡していたことが29日わかった。患者数は死者2名を含む98人(レジオネラ症確定5人、疑い93人)に拡大。

 県保健薬務課によると、亡くなった男性は7月4日に同施設に入浴。9日発熱や腹痛など肺炎症状が現れ、翌10日、宮崎市内の病院に入院。15日に死亡した。

 県保険薬務課は同日浴場の湯から100ミリリットル中に最大で厚生労働省が定める基準値の15万倍の極めて多量のレジオネラ属菌を検出したことを明らかにした。厚労省マニュアルでは100ミリリットル中レジオネラ属菌は10個未満と定めているが、7つの検査箇所全て基準を大幅に上回った。数値は基準の98倍から最大15万倍。消毒のための塩素は全く検出されなかった。

 近年、公衆浴場でのレジオネラ菌の感染報告が相次いでいる。殆どが浴槽の水を濾過(ろか)して再び浴槽に戻す「循環式」浴槽での発生だ。湯を何日も交換しなかったり、消毒が不十分だったりしたために、屋外から舞い込んだレジオネラ菌が湯の中で増殖、打たせ湯や気泡風呂の湯気やしぶきから入浴客に感染したと見られている。「日向サンパーク温泉」もすべて循環式だった。

 日向市議会全員協議会で山本孫春市長は「的確に情報公開をしながら、信頼回復に努める」と施設を維持し、メドが付けば再開させる意向を示した。

(いい湯鑑定団)
 既に死者2人、患者総数98人という大事件となっているにもかかわらず、再開を考えるとは言語道断!

最初の死者について7月29日に県が発表した。

患者数は死者2名を含む98人(レジオネラ症確定5人、疑い93人)

7月30日
 県警捜査一課と日向署は業務上過失傷害の疑いで同施設と同市役所を家宅捜査した。集団感染の発生と安全管理体制の因果関係を調べ、刑事責任を追及する。家宅捜査は、同日午後から始まり捜査員55人が業務日誌、消毒用塩素記録簿など関係書類145点を押収した。

 日向サンパーク温泉は7月19日に県保健所が営業自粛を口頭で指導していたが、団体予約などを優先させて3日間営業を続行。昨年10月、厚労省のレジオネラ症対策マニュアルを入手していたにもかかわらず、防止対策を協議していなかった。

 レジオネラ症集団感染の患者は114人。

疑いを含む患者数114人(死亡2人)
7月31日
 レジオネラ症集団感染の患者は141人に上った。うち入院したのは死者2名を含む81人。現在も10人は呼吸困難などの重傷。県は同温泉と同様の循環式浴槽を持つ県内約70の施設に対し、立ち入り検査を始めた。

 レジオネラ症集団感染で、施設側は浴槽の滅菌塩素濃度がゼロであることを県の立ち入り検査当日に把握しながら、機器点検もせず営業をつづけていたことがわかった。検査に立ち会った市職員と施設責任者は上司の市幹部に検査結果を伝えず、自粛要請があったことだけを報告、閉鎖するまでの3日間を通常通り営業していた。

疑いを含む患者数141人(死亡2人)
8月1日
 レジオネラ症集団感染の患者は19人増えて160人となった。内訳はレジオネラ症確定6人、疑い154人。死者2人を含む88人が入院して18人の退院は確認された。現在入院中のうち10人は重傷。

 レジオネラ症に集団感染した問題で、浴槽からあふれた温泉水を循環させるシステム(オーバーフロー)のスイッチが切られ、殆ど稼働していなかったことが県の立ち入り検査などでわかった。同システムは浴槽からあふれた湯をタンクに回収、その一部を排出する。減った分は新しい温泉水を供給することで補い、浄化を促す。同施設では開業当初、水位を低く設定したため、利用者から「お湯があふれていない」と苦情かでていた。関係者は「光熱費を節約するため、浴槽内のお湯だけを循環させていたのではないか」と指摘している。同施設の温泉湧出量は、一日当たり最大で約182トン。すべての浴槽や配管、タンク内で60〜80トンの温泉水が循環していたが、オーバーフローしたお湯を循環するシステムが稼働していなかったため、回収タンクと濾過器をつなぐ配管内には汚染されたお湯がたまっていた可能性もある。

疑いを含む患者数160人(死亡2人)
8月2日
 県はレジオネラ症集団感染の患者が死者2人を含む206人となったと発表。同日新たに60代男性の感染が確認され、確定患者は11人になった。現在も10人が重傷で入院中という。 疑いを含む患者数206人(死亡2人)
8月4日
 山本市長ら市幹部は、レジオネラ菌感染が原因と見られる肺炎症状で亡くなった遺族宅や入院患者を訪れて謝罪を始めた。日向市のレジオネラ菌対策本部は、感染者と疑似感染者の治療費と入院費について市で全額負担することを決めた。
8月7日
 日向保健所の衛生環境課衛生係長川崎健次さん(49歳)が宮崎市生目台西4丁目の自宅で死亡しているのを家族が発見し、119番通報した。体内から青酸カリが検出され、自殺したとみられる。係長は、日向市の第三セクター・日向サンパーク温泉「お舟出の湯」で発生したレジオネラ症集団感染問題の担当課職員。遺書はなかったが、係長は6日夜、帰宅のため駅に迎えにきた長男に「疲れた」と漏らしていたという。宮崎南署では薬物の入手経路を調べている。県によると県の保健所には検査試薬として青酸化合物があるという。 事件関係者の自殺
8月8日
 レジオネラ症集団感染で県保健薬務課は、新たに同施設を利用した日向市の70代の男性が死亡したと発表した。これで死者は3人となった。男性はレジオネラ菌に感染していたことが確認されていた。同課によると男性は7月7日に入浴し、同月14日に入院、肺炎を起こして8月8日に死亡した。感染者(疑いを含む)はこれまでに計224人に上っている。 3人目の死者

疑いを含む患者数224人(死亡3人)

8月9日
 レジオネラ症集団感染で県は、感染疑いのある人を含め患者総数は計234人になったと発表した。感染疑いがあり、7月15日に亡くなっていた70歳代男性の喀痰(かくたん)から菌を培養した結果、レジオネラ菌が検出されたこともわかった。9日県警は、8日に死亡した70代男性を宮崎医科大で司法解剖した。業務上過失致死傷容疑での立件をめざす。 疑いを含む患者数234人(死亡3人)
8月10日
 レジオネラ症集団感染で県は、感染した疑いのある人も含め患者総数は新たに7人増えて241人になったと発表した。確定患者は19人(うち死亡2人)、感染の疑いのある患者は222人(うち死亡1人)になった。 疑いを含む患者数241人(死亡3人)
8月11日
 レジオネラ症集団感染の死亡者が4人となった。 4人目の死者
8月13日
 レジオネラ症集団感染の死亡者が5人となった。 5人目の死者
8月14日
 レジオネラ症集団感染で感染が確認されていた日向市の60歳代男性が死亡した。日向サンパーク温泉「お舟出の湯」の集団感染による死者は6人目。集団感染による患者は246人(確定患者22人、疑い患者224人)で13日から増減はない。現在も32人が入院しており、うち3人は重傷。 6人目の死者

疑いを含む患者数246人(死亡6人)

8月15日
 県はレジオネラ症集団感染で患者総数は感染疑いのある18人が増え、264人になったと発表。県保健薬務課によると、確定患者は22人(うち死亡4人)、感染の疑いのある患者は242人(うち死亡2人)。 疑いを含む患者数264人(死亡6人)
8月19日
 県はレジオネラ症集団感染で確定患者4人と疑いのある患者4人があらたに増え、患者総数は278人になったと発表した。 疑いを含む患者数278人(死亡6人)
8月20日
 県はレジオネラ症集団感染で患者は4人増えて282人になったと発表。 疑いを含む患者数282人(死亡6人)
8月22日
 県はレジオネラ症集団感染で患者総数は290人、感染者28人(死亡5人)、感染の疑いのある患者は262人(うち死亡1人)になったと発表。 疑いを含む患者数290人(死亡6人)
8月24日 県はレジオネラ症集団感染で、新たな感染者の報告はないと発表。但し、潜伏期間には個人差があり、終息したとは判断できない。
8月26日  県はレジオネラ症集団感染問題で、確定患者が1人、感染の疑いがある患者が3人増えたと発表した。患者総数は294人になった。

 患者の内訳は確定患者29人(うち死亡5人)、疑いのある患者265人(うち死亡1人)。新たに報告された4人はいずれも宮崎市に住む30〜60代の男女。入院者はいない。このうち、確定患者は50代女性で、現在は回復に向かっている。

 市はレジオネラ症集団感染問題で被害者への補償金として患者自己負担分の医療費のほか看護料、入院雑費、休業損害金、通院交通費、慰謝料を支払う方針を決めた。現在入院中の患者に対する医療費支払いも同日始まった。 患者の内訳は確定患者二十九人(うち死亡五人)、疑いのある患者二百六十五人(うち死亡一人)。新たに報告された四人はいずれも宮崎市に住む三十―六十代の男女。入院者はいない。このうち、確定患者は五十代女性で、現在は回復に向かっているという。

疑いを含む患者数294人(死亡6人)
8月27日  レジオネラ症集団感染を受け、同温泉と同じ循環式浴槽を持つ営業中の公衆浴場75施設中、16施設(検査中3施設)から厚生労働省の定める基準値を上回るレジオネラ属菌を検出したことが、県の立ち入り調査で分かった。最高値は基準値の970倍にも上った。

 県保健薬務課によると27日現在感染の患者総数は医療機関からの連絡で感染疑い患者一人が取り消され293人(死者6人)となった。

疑いを含む患者数293人(死亡6人)

(1人取り消し)

8月29日  確定患者29人、疑い265人、計294人、(内訳:男158人、女136人。7月31日の入院者数81人、8月29日の入院者数16人、通院者数271人)
9月1日
 レジオネラ症集団感染の影響で宮崎県内の入浴施設客が激減している。各施設は安全宣言を出したり、レジオネラ属菌の検査結果を張りだすなど取り組みに賢明。
9月15日
 確定患者32人、疑い263人、計295人、(内訳:男159、女136。死亡7人+他疾患死亡1、計死亡8人)、死亡者数8人は過去2年間のレジオネラ症集団感染事件の死者を1つの入浴施設が上回り、さらに日向保健所の衛生環境課衛生係長の自殺という悲惨な事件に至った。

 レジオネラ症感染を防ぐためには、循環式温泉には入浴しないという方法しかないのでしょうか。コスト削減を最優先し、1万人以上入浴しても湯を換えず循環させている循環式温泉の話はあちこちで聞きます。

 循環式温泉でレジオネラ属菌に感染するのは、打たせ湯や気泡湯、ジェットバスなど浴槽内の湯がミスト状になり、これを呼吸器に吸い込んだ場合が多いようです。また、浴槽内の湯を口に含んで感染した例もあります。
 町や村おこしの一億創生資金で造られた大深度掘削による日帰り温泉の多くが循環式温泉といわれており、また、古くからの温泉場でも集中管理により浴槽から湯を回収し循環しているところが増えています。 

 歴史ある温泉旅館でも幾つかある浴槽の1つのみ循環せずに原湯をかけ流し、ほかの浴槽は循環し、「天然温泉」と称して営業しているところが急速に増えています。

 いい湯鑑定団は、今回の事件で、温泉宿に「循環しているか」をはっきりと確認する方が身のため感じました。

 亡くなられた方々の冥福をお祈りし、また被害にあわれた方々の一日も早い回復を願っております。 

 今後も、この事件のレポートは継続いたします。

第2話 鹿児島県東郷町の「東郷温泉ゆったり館」
平成14年
事 件 の 概 要
各種データ
8月10日
仮オープン 仮オープン
8月20日
 8月13日から3日間、家族4人で鹿児島県に帰省した長崎県の男性(63歳)が13、14日に「東郷温泉ゆったり館」で入浴した。15日から全身けん怠感や咳、発熱などの症状が現れた。8月20日に容体が悪化し、長崎市内の医療機関を受診。尿検査でレジオネラ症と診断され、同日夜に死亡。

 鹿児島県は長崎県からの連絡を受け20日に「東郷温泉ゆったり館」の浴槽など7カ所の温泉水を採取して検査中。

死者
8月26日
 営業自粛 営業自粛
8月30日
 鹿児島県は「東郷温泉ゆったり館」の大浴槽から基準値の1万3,000倍、露天風呂から2,200倍のレジオネラ菌が検出されたと発表した。なお、貯湯槽からは検出されなかった。
 「東郷温泉ゆったり館」は、同町が総工費14億2千万円をかけて8月10日に仮オープンした鉄筋コンクリート2階建の大規模温泉施設。浴槽は、1.和風大浴場、2.和風露天風呂、3.洋風大浴場、4.洋風露天風呂、5.森の湯、6.岩の湯、7.和みの湯の7つ。ほかに宿泊施設として和室5、洋室7、宿泊定員39名、宴会場、会議室、物産館、喫茶室、レストラン。

 泉質はナトリウム炭酸水素泉で、内風呂、露天風呂、歩行浴、浮風呂、低周波浴、リラックス浴、打たせ湯、イベント風呂、サウナ、水風呂、家族風呂などさまざまな施設を備えている。

 入浴料は大人300円、小学生100円とかなり低料金設定。

 8月10日仮オープンからこれまでの温泉利用者数は延べ1万1千人。

 7月末の検査では菌は検出されなかった。浴槽は一部循環式で、回収した温泉水は塩素殺菌後、源泉とともに浴槽に循環させていた。

 温泉水は1、2日おきにすべて抜いて清掃し、完全換水していた。これまでに約1万1400人が利用しているが、いまのところ他に発症者の連絡はない。
9月6日
 鹿児島県はレジオネラ症で死亡した長崎県の男性(63歳)を含め感染者数は4人となったと発表した。同県は対策本部を設置。
9月16日 温泉施設から基準値の1万3000倍のレジオネラ菌が検出された問題の責任をとり、同町の田代幸一郎町長(46)が16日、辞意を表明した。問題の温泉施設は、同町の100%出資で、田代町長が社長も兼ねる株式会社が運営し、8月初旬に仮オープンしたばかりであった。
10月2日 東郷町は2日、「東郷温泉ゆったり館」の温泉水の供給方式を、循環式から、新しい温泉水だけを使う完全掛け流し式へ転換すると発表した。増殖源となったろ過装置は今後使用せず、多くの湯が必要な打たせ湯は廃止する。 湧出量は毎分220リットルであるが、打たせ湯に毎分300リットル使用していたため、廃止を決定し、歩行浴も当分中止する。 完全掛け流し方式に変更決定

なお、最近の温泉施設でのレジオネラ感染症による死亡事件は、1.2000年3月「ヤマハリゾートつま恋温泉森林乃湯」死亡2名、感染者23名、2.2000年6月「総合福祉センターふれあいの里石岡ひまわりの館」死亡3名、感染者45名、そして今回取り上げた2施設です。他にも大学の24時間循環風呂や板橋の銭湯でも各1名死亡しています。温泉施設の場合は利益最優先の経営姿勢と、無知に近いような衛生管理によってレジオネラ症感染死亡事件が繰り返されています

ここで、温泉の種類をまとめてみました。

温泉とは
温泉の種類
内       容
1.1つの源泉の湯を直接使う温泉
  • 天然自然に湧出する温泉が、温泉としての効力をもって、温泉施設の浴槽に流入している。
  • 自然湧出の方がいい湯である。
  • ポンプアップによる揚湯。
  • 源泉から浴槽までの距離は短い方がよい。
  • 温泉分析表は源泉地から採取した湯の成分を分析したものであるが、多くは温泉所有者が検査所へ持参している。→現地に来て直接採取する方が確実といえる。
  • 源泉の湯がそのまま浴槽に流入しているとは限らない。
  • 低温の源泉は貯湯して加熱している。
  • 貯湯槽に貯えるとレジオネラ菌増殖の可能性がある。
2.源泉の湯を幾つか混合する温泉
  • 幾つかの源泉の湯を混合して浴槽に流している場合は、浴槽内の湯を分析すべきであり、源泉の泉質の温泉分析表を表示することは事実とことなる。
  • 湧出量の減少にともない多数の温泉場で混合は行われている。
3.源泉の湯に水を混ぜる温泉
  • 井戸水ならまだしも川の水を混ぜているものは、もはやいい湯とはいえない。
4.循環式温泉
  • 浴槽に入った温泉の湯量を保つため湯を循環する温泉であり、温泉本来の効能はまったくない。循環を繰り返すことにより人の体の垢や髪の毛、陰毛、大腸菌、レジオネラ菌、O157など汚れや汚染が付加され続ける。濾過そのものにも限界があり、塩素その他による滅菌が不可欠である。
  • 但し、今回のレジオネラ症集団感染事件で明らかなように、完全な滅菌などあり得ず今後も死亡事件が繰り返される可能性が極めて高い。
  • 循環式温泉は、温泉といはほど遠い入浴施設である。
5.廃湯を利用する温泉
  • 例えば内湯から流れ出た湯を露天風呂に流し込んだり、別な浴槽に入れ再利用するような温泉が目立つようになってきている。このような廃湯を再利用することは極めて不衛生であり、このような施設は温泉とは言えない。

最近、いい湯鑑定団が古くからの温泉場の内湯に入って、その塩素臭に驚きました。保健所の指導や万一感染事件が発生した場合の営業停止、客の激減、損害賠償などを恐れて強烈に臭うほどに塩素投入しているようです。湯に入って臭いのため気分が悪くなった温泉は初めてです。

レジオネラ温泉へのご意見をお寄せ下さい→webmaster@jrea.co.jp


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