アーサおじさんのデジタルエッセイ90

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第90話 ラマダーン、まだーん?


 むかし、必要があってイスラムの慣習を調べていた。海外ロケに行くのである。これまでの国と違って交渉が難しい、という噂がある。本多勝一の取材では、

 キャンプのものは何でも盗られてしまうとか、事故は全て『神』のせいにされて責任をとらないとか。先に行った他社の事例では、ロケ隊の前に毎日"バクシーシー"(喜捨を求める人)の行列が出来て予算が足りなかったという話も業界誌に出ている。予算がぜーんぜんない私達はそんな対応は出きっこない。こうなれば、相手の論理で対抗するしかない。東大出版会の「宗教学事典」のイスラムに関する全項目を読んだ。いくつかの疑問を残したが、なんとか対抗策は手に入れた。

 その間で興味を持ったのが、「ラマダーン」であった。決められた月の間、断食に入る習慣。断食と言っても、夜明けから日没の間には食べ物、飲み物を一切取らないということ。もともと沙漠での飢餓に対する抵抗力確保と先人の労苦を偲ぶ意味とがあるらしい。随分禁欲的という印象だ。しかし現実の彼等は禁欲的にも道徳的にも見えない。けっこう"スケベ"なお人柄の雰囲気である。

(それはさておいて)

のちのちある統計を見ると、イスラム圏でのラマダーン時期の食品の消費量は他の月に比べて「ばば〜ん!」とアップしているのである。これはなんだ?!

要するに、毎日が宴会の月があるということ。夕方になると、時計を見ながら自宅へ自家用車を走らす彼等。街のラッシュでイライラしながらクラクションを鳴らし、怒鳴りあうはずだ。そして、背中の太陽が沈むのを見て(心の中で「おー」と声を上げる?)頭の中はごちそうで一杯になっている。さあ、家族との対話と宴会。博多の「山笠」も、唐津の「おくんち」も、ひと月近く宴会が続くお祭りである。イスラムには酒はない。その分、大量に食べる。朝まで食べるかもしれない。人間はへこたれないものだ。

                 
             ◎ノノ◎
              (^●^)
              

 「また、お会いしましょ」  2001年12月28日更新


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