アーサーおじさんのデジタルエッセイ379

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第379 蛍の光、秋の虫


 住まいにもよるだろうけれど、深夜に目覚めるとその視界に何が見えるだろうか。
漆黒の暗闇ということは、あまりあるまい。
窓の外の光がカーテンをぼんやりと浮き上がらせているだろうか。
それとも廊下の小さな明かりが漏れて、ドアの隙間が細長い線状に光るだろうか。
消したはずの部屋の電気は、常夜灯という小さな光りになっていて、それが深夜には月明かりのように煌々と感じることもあるだろう。
目が慣れると、何でも見えてくるものだ。
これなら蛍の光でも本が読めるとした古代人の感覚が分からないでもない。
蛍の光、窓の雪。
これで勉学にいそしんだというのか。
まあ、昔の本は「論語」などだから、文字は大きくて、しかも暗記の復唱だから、目は悪くならないのだろう。

 それにしても、家庭の空間には明るい蛍が沢山いる。
台所が明るいのは、炊飯器のタイマーである。
緑色に厨房を照らしている。
テレビのリモコン感応灯も赤く染まっている。
これならなんとか家中をあちこち歩ける。
ピーピーピーという音も、このごろは聞こえる。
様々な機能が立ち上がり、終了する案内音である。
携帯電話もにぎやかである。
これが多すぎて、この頃は何が鳴っているか分からない。
ほとんど秋の虫の音である。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2007年9月30日更新


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