アーサーおじさんのデジタルエッセイ371

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第371 老兵の岐路


 平均寿命も伸びて80歳ほどになる。
定年を迎えてからもどこに勤めるか、再雇用とか、誰もが考え始めている時代であるが、60歳になったMさんが、私はもう「疲れた」と言って、定年を迎えると、辞めた。
優しい人であったが、どちらかと言えば、社会的には引きこもりに近い状態になったようだ。
悠々自適ではないのだろう。
 街角で、『骨董的』なアメ車を発見する。
運転席の横には風を引き込むための「三角窓」があったり、サイドミラーはフロントのトップの左右に出っ張っている。

バンパーも厚く輝いて出っ張っている。
中で鳴っているBGMはきっと60年代のロックだろう。
自慢の持ち主は毎日、ボディをクリーナーで磨いているのだろう。
 それは、走ってくれてもやはり現役ではない。
ドライバーは、信号機の前で停止し、再発進する度に、実はエンジンを繋ぐのにちょっとドキドキしているかもしれない。
エンジンはパラン、パラン、音を立てる。
走るだけで自慢なのだ。
 Mさんは好きな山登りをする時以外は、車庫で眠っているのだろう。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2007年7月28日更新


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