アーサーおじさんのデジタルエッセイ328

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第328 曲がらない竹輪


  サラリーマンの知人が本を出したという。確か「留学経験がなくともTOEIC900点が取れる」という風なタイトルだった。
TOEICに挑戦している人は気になるに違いない。
でも彼なら取れるだろう。
彼は勉強家だ。内容を見てみると様々な日常の猛勉強の工夫やコツが書いてある。ふんふん。
面白く書いてあり、自作のイラストも楽しく入っている。

 いつか、喫茶店で中年の温厚そうな男性が若い男性に英会話の教材をセールスしていたのを見た。
2分に一回は「これなら努力なしで単語が覚えられます」と喋っている。
しかしである。
その根拠は「ポータブルなCDで単語を聴く」ということ。それだけ?
 でも僕たちの、楽しく苦しくにぎやかな日常の中で、様々な事情を排し、あるたった一つの事をひたすら貫く−−−それ程「難事」があるだろうかと思うのである。

 外国語・資格試験・習い事。どんなに激しい熱情も、激しいだけ「スコール」のようにさっぱりと気持ち良く終わるものである。
次には明るい青空の誘惑が待っている。
数年もの間スコールを降り続けさせるのは、物理現象的にも不可能である。
場面は変わるのである。
これが通常の人間の内臓感覚だろう。
 鉄の棒が嵌ったままの「竹輪」はない。
ふにゃふにゃが普通だ。
それを固く貫くことこそ、特別に異常な現象なのだ。
だから「これなら努力なしで単語が覚えられます」というのは、「異常に頑張れば、自動的に覚えます」と言っているわけだ。
なんでもすぐ出来るようなタイトルの本が多いけど、それはノウハウではなく、刺激剤として使用するしかないのだろう。

           ◎ノノ◎
           (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2006年9月17日更新


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