アーサおじさんのデジタルエッセイ290

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第290 ママ・ミーアの姿


ママ・ミーアというのは「私のお母さん」というイタリア語?です。

でも「まあ、大変!」という時に口から出る言葉です。

その日、入ったコーヒーショップには、駅前らしく実にさまざまな人がごった返していました。

目の前には乳母車を据えた夫婦。窓側にはキョロキョロ周囲を見回す、坊主頭のヤンキーな風体の外国人。

乳母車にはブランド名のようなアルファベットがあります。

よく見ると「MAMMA MIA」と書いてあります。

赤ん坊は母親のほうをキョロキョロ伺っています。

なるほど、子供はお母さんを探して、安心するものらしい。

スプーンでヨーグルトのようなものを口に運んでもらって、ちゅうちゅうと吸っていました。

ところでナンパらしき外国人ですが、K−1選手のような図体をしながら、人が通る度に落ち着かない目つきで首を動かしています。

待ち人ではなく、誰彼となく物色している様子です。

ふと気付いてしまいました。乳母車の赤ん坊と同じ目をしているのです。

フロイトではないけれど、彼の欲求は母親を探しているのでしょう。

大人になっても、物色しているのは、実は無意識の中の「お母さん」なのではないでしょうか。

女の子が欲しいのは、淋しくて、誰かに甘えて支えて欲しいからでしょう。

ばたばたと赤ん坊が手を動かすように、彼もまたばたばたとしているのでしょう。

彼の背中にも、ママ・ミーアと書いてあるような気がしたのです。


             ◎ノノ◎   
             (・●・) 

         「また、お会いしましょ」 2005年11月27日更新


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