アーサおじさんのデジタルエッセイ246

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第246話 死と迷路


なにも書くことが無いときは、外国の話でもしよう。

北京の大地は東京よりもなお一層平べったくて、坂というものが見当たらないようである。

この広大な土地の中心に紫禁城がある。

でかい。でかいがもっと重要なことは、建築された当時から、つい太平洋戦争後まで、周囲の全ての建物は平屋であったということである。

現在は高層ビルもニョキニョキ生えているところだが、その当時は庶民生活に制限があり、二階家を建てたものは打ち首であった。

煉瓦塀については色彩の制限もあり、紫色(黄色、青も)など使えば死罪であった。

従って当時は、北京に入るや否や、泥にまみれた黄土色のひしめく民家の屋根越しに、遠くからでも際立った紫禁城の高さと鮮やかな色彩が「ババーン!」と見えたのだ。

それは駿河湾における富士山みたいな迫力だったろう。

市民は恐くて近寄れないはずである。

ちなみに100年前の韓国(朝鮮)も同じような状況であったらしい。

ただし、整然とした北京とは違い、こちらは宮殿までアメ横のような迷路になった細い路地が延々と続く。中心部へ行くのに大変な思いをしたらしい。

1894から1897年に韓国に4回旅行した英国人旅行家、イザベラ・バードが報告している。

私達は、もうそういった幻想的な(指輪物語のような?)都市を見ることはない。

あるなら見ておきたいなあ。




             ◎ノノ◎   
             (・●・) 

         「また、お会いしましょ」 2005年1月16日更新


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