アーサーおじさんのデジタルエッセイ106

日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む

第106話 機械人間の恐怖


僕は、渋谷のハチ公口のJRの切符売り場がしばしば恐怖である。

ある日、自動券売機の行き先のボタンが反応しないので壊れていると思い、隣の発券機に移ったが、これも壊れている。

何度強く指で押しても、反応しないのだ。あきらめて引き下がったが、他の人がなんの苦もなく使っている。

僕はかなり激しい"冷え性"で、冬や雨の寒い日は、指先が冷えている。

循環系の器官が弱いのだ。

従って"うっかり"券売機に触れても、"彼"は温度を感知できない僕を「人間」と認めてくれないのだ。

後ろに大勢の人が並んでいると、それは恐ろしい。

指を変えて全ての指で試しても無駄。

親指の腹をベターっと押したら、隣の金額が反応してしまう。

取り消しのボタンで凌ぐしかない。

後ろで指に息を吹きかけ、暖めてから再挑戦。ピッ、と反応してくれると本当に嬉しい。

ああ、いやだ。

僕は冷血動物か、それともロボットか!感度の悪い機械は、「人権」に関わるのだ。

私鉄ではほとんどそんなことが無いのに。

あの「アトム」が自分がロボットだということで落ち込む気持ちがわかる。

「ロボット刑事」(石ノ森章太郎)が人間だった頃を懐かしむのがわかる。

レプリカントのレイチェルが、愛されたいのが良く分かる。

ま、いいか。

僕はロボットの心が分かる人間なのだ。




             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ。」2010年6月5日更新


日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む